
遺留分の放棄とは
遺言を残しても遺留分を侵害していると、遺留分権利者から遺留分侵害額請求がなされ遺言どおりの遺産分割ができない恐れがあります。そこで、一定の手続きを経て相続開始前に遺留分を放棄してもうことが可能です。
遺留分の放棄の手続き
相続開始前の放棄
相続開始前の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を必要とします。その管轄は被相続人の住所地の家庭裁判所になります。
なぜ家庭裁判所の許可が必要か?
旧民法下の家督相続を否定する新民法のもとでは、相続権も遺留分権も純粋の個人的な財産権であるから、その処分は自由ですが、これを無制約に認めると、被相続人が親の権威をもって遺留分権利者の自由意思を抑圧し、その放棄を強要することが起こり得ます。それでは、遺留分権利者の生活安定及び家族財産の公平な分配という新民法における遺留分制度の趣旨を無にする危険があることから、相続開始前の遺留分権の放棄は、家庭裁判所の許可を得た時に限ってできるようにしてものです。
家庭裁判所の許否の判断基準
具体的には、①遺留分放棄が遺留分権利者の自由意思に基づくか否か、②遺留分を放棄する理由に合理性や必要性があるか否か③遺留分放棄と引き換えになされる代償が存在するか否かを考慮しているとされています。
相続開始後の遺留分放棄
被相続人の相続が開始した後は、遺留分権利者は、その有する個々の遺留分侵害額請求権、あるいはその総体としての遺留分権全体を、自由に放棄することができます。
遺留分放棄の効果
遺留分の放棄がなされても、共同相続人の遺留分が増加するのではなく、その反射的効果としての遺留分放棄の範囲内で被相続人の自由に処分が可能な範囲が増加するのみです。
遺留分を放棄した相続人であっても、相続権自体は失いません。したがって、遺産分割協議の当事者となることもできますし、相続開始後に相続放棄・限定承認の申述をしなければ積極財産は相続せずに消極財産(負債)のみを相続するという事態が起こります。
遺留分の放棄と代襲相続
遺留分を事前に放棄した者に代襲相続が発生した場合は、代襲相続人は遺留分のない相続権を代襲することになります。
相続開始前の遺留分放棄の撤回
遺留分放棄の許可の審判後に発生した事情の変更を理由として許可の取消しを求めることができるのか。
裁判所は、遺留分放棄の許可の審判がなされた後は、原則として放棄の撤回をすることはできませんが、審判の基礎となった客観的事情に明白かつ著しい変化が生じ、許可の審判を維持することが著しく社会的実情に合致しなくなった場合は、相続開始前に限り、遺留分放棄許可の審判を取り消すことができるとしています。
相続の関連記事
親から子供への仕送りはいくらまで非課税?贈与税がかからない条件と110万円の注意点
2026年9月12日
遺産分割協議書に印鑑をもうらうためのハンコ代の考え方
2026年9月11日
相続放棄・最後の住所地が分からない場合【住民票の除票や戸籍の附票が保存期間満了で取得できない場合】
2026年8月9日



