相続放棄の申述は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。最後の住所地とは、被相続人の死亡時に住民票に登録されている住所です。
亡くなってから間もない通常の相続放棄であれば、被相続人の住民票の除票や、戸籍の附票を取得することで最後の住所地を確認することができます。
ただし、事情により被相続人の死亡から数年経っているケースなど、場合によっては住民票の除票や戸籍の附票が役所の保存期間満了により、破棄されてしまっていることがあります。
そうなると、被相続人の最後の住所地を確認することができず、申述先の家庭裁判所が確定しません。これでは困りますので、今回は被相続放棄における被相続人の最後の住所地を確認する書類が取得できない場合の対応方法についてお話します。
①まずは死亡届を取得できるか(市役所か法務局)
まず最初に試みる手段として、市区町村または法務局への当時の死亡届の取得です。死亡届は通常、市役所や区役所などへ提出しますが、いつの時点んで死亡届を提出したかによって、現在の申請先が市区町村なのか、法務局なのか異ってきます。
令和6年3月1日以降に死亡届が出された場合
令和6年3月1日以降に、死亡届が提出されている場合は、その死亡届が出された市区町村または本籍地の市区町村が申請窓口となります。
令和6年3月1日より前に死亡届が出された場合
令和6年3月1日以降に、死亡届が提出されている場合は、本籍地の市区町村を管轄する法務局が申請窓口となります。
また、法務局での死亡届の保存期間は法務局ごとに異なる可能性もあり、30年以上前に死亡届を出している場合は、そもそも死亡届を取得できない可能性もあります。その場合は、死亡届を出せない理由として廃棄済みであることの証明書が出せるかどうか法務局に確認します。もし廃棄済みの証明書を出せるなら出してもらいます。
死亡届の申請は、特に決まった書式などはないケースが多いですが、必ず事前に管轄の法務局に確認をしてください。申請書の名称は、届書記載事項証明書交付請求書などと記載してあることが多いです。参考までに以下は、東京法務局の書式になります。
②次に被相続人が土地や建物を持っている場合
被相続人が30年以上前に亡くなっている場合など、①の死亡届の取得もできないようなケースでは、被相続人が土地や建物を所有していれば、対象物件の登記事項証明書を取得し確認して、そこに記載された住所地被相続人の最後の住所地として、相続放棄の申述を行うことが考えられます。
たとえば、被相続人が名古屋市に自宅の土地、建物を有している場合、当該自宅の土地、建物の登記事項証明書を管轄の法務局で取得し、被相続人の住所地の記載を確認します。
そこで、具体的な住所地が分かれば、裁判所に対し登記事項証明書とともに、上申書(住民票や戸籍の附票、死亡届を取得することができなかったため、最後の住所地を登記事項証明書記載の住所として、相続放棄の申述を行う旨の記載があるもの)を提出することになります。
もっとも、裁判所次第では、登記事項証明書だけではなく、追加で必要書類を求められる場合もあるため、その場合は指示に従い速やかに追加資料を準備する必要がります。
③その他の書類で対応できるか
被相続人が土地や建物を所有しておらず、登記事項証明書によって被相続人の住所地さえも確認できない場合、その他の書類で住所地を確認できる場合は、その書類と上申書を相続放棄の申述の際に合わせて提出することになります。
被相続人の住所地を確認できる上記①②以外の他の書類としては、市区町村から送られてくる固定資産税課税明細書の所有者の住所欄や、借用書に記載の被相続人の住所等があげられます。
また、この場合も、裁判所次第では、追加で必要書類を求められる場合がありますので、その場合は、指示された追加書類を速やかに準備する必要があります。
まとめ
このように、被相続人の最後の住所地を証明する方法としていくつか考えられますが、状況によって書類の準備を進めていく必要があります。どちらにしても、死亡届の取得などは数週間の期間を要するなど、すぐに発行されるものではないため早めの対応が肝心です。
また、被相続人の最後の住所地を確認できる書類が取得できない相続放棄は、被相続人が亡くなられてからすでに数年経っているケースが多いため、そのようなケースでは、安易に行動するのは危険も伴います。相続放棄をできる可能性があるのかどうかも含めて慎重な判断が必要になるため、不安に感じた場合はなるべく早めに専門家に相談されるのがおすすめです。
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