相続登記が義務化というフレーズが世の中にだいぶ浸透してきました。中には、「これから相続する人しか関係ない」と思われている方も多いようですが、残念ながら過去に不動産を相続して名義変をしないまま放置している全ての人が、相続登記の義務化及び罰則の対象となります。
令和6年までは、これまで相続登記は義務ではありませんでしたので、実家の使わない空き家など、そのまま何年も放置してしまっているケースも少なくありません。もちろん、罰則の規定もありませんでした。
そんな相続登記が、今になってなぜ義務化されることになったのか?
その背景には、所有者不明土地が全国で増加していることが社会問題となっているという理由があります。所有者不明土地とは、下記のような土地を指します。
- 不動産の登記簿謄本上で所有者が誰のものか分からない土地
- 所有者は分かるが、連絡がつかない人が所有している土地
相続登記義務化の背景
なぜ所有者不明の土地が増え続けているのか?
所有者不明土地が全国的に増え続けている要因として下記のようなものが考えられます。
- 相続登記が義務ではなかったため、急いで登記をしなくても不利益を被ることがなかったため
- 日本全体で高齢化が進み、土地を所有したいという考えが薄くなってきている
- 地方を中心に若者が都心に移動しているため、地方の若者人口が減少している
所有者不明土地が増えることの問題点は?
所有者不明土地が増え続けると下記のような問題が生じます。
- 土地の管理が行き届かず、放置されると、近隣住民の生活に悪影響を及ぼす
- 都市計画などの公共事業が円滑に進まない
国土交通省の地積調査によると、所有者不明土地は、日本の土地の約20%に及ぶとされています。面積にすると410万haに相当し、九州大陸の土地面積(368万ha)を超えているのです。
高齢化社会によって、今後死亡者数が増加すると、これから所有者不明土地問題はますます深刻化していくことが予想されます。このような背景から、所有者が分からない土地を増加させないための施策として、相続登記が義務化されることになりました。
相続登記はいつから義務化されたの?
相続登記義務化は2024年の4月からスタートしました。2024年4月以降に相続が発生した場合、相続登記をしなければいけなくなるので、相続関係が複雑になる前(数次相続が起きたり、相続人が認知症になるなど)に早めに登記を済ませてしまった方が得策です。
相続登記義務化のルールは?
相続登記義務化のルールとしては、相続発生から3年以内に、相続登記(相続による所有権移転の登記)を法務局へ申請しなければならない、違反した者は10万円以下の過料に科されるというルールです。
相続登記義務化の対象者は誰?
これから相続が発生して土地を土地や建物を相続する人はもちろん、相続登記が義務化される2024年4月より前に相続が開始した方で、現在まで相続登記を済ませていない人も対象となります。
ただし、すでに相続が発生している方でも、相続登記義務化が始まる日から3年以内に相続登記をするば、過料は科せられません。
相続登記の申請は、司法書士に依頼するのが一般的ですが、相続人の数が複数になり相続関係が複雑になると司法書士報酬もかなり高額になる可能性もあります。
現時点で相続登記未了の不動産をお持ちの場合は、できるだけ早めの着手をおすすめします。
司法書士ローワン綜合法務事務所では、相続登記の無料相談を随時受け付けております。名古屋市港区近郊の方をはじめ、遠方のお客様からのご相談も多くいただいております。
相続や登記のことでお悩みなら、一度お気軽にご相談ください。
相続に関連する記事
相続人名義の名義預金はどのように扱うべきか??
2025年3月1日
相続人名義の預金口座の扱いにつ...
相続登記義務化によるペナルティを避ける方法
2025年2月21日
相続登記義務化に伴い、違反した場合には10万円以下の過料という罰則規定が設けられました。
ただし、3年以内に事情があって相続登記ができない場合の...
相続登記の登録免許税の計算方法
2025年2月9日