自営住宅や県営住宅の家賃も自己破産できる??

市営住宅や県営住宅に住んでいる方で、借金が返済しきれず自己破産を検討する中で、市営住宅などの家賃も自己破産できるのか?と悩まれるかもしれません。
市営住宅や県営住宅と聞くと税金と同じように免責されないような感じがしますが、結論から言えば、市営住宅の滞納家賃も原則として自己破産の対象になります。
ただし、手続きの流れや注意点、そして滞納後の住まいの扱いなど、自己破産に伴う影響をしっかり理解しておくことが重要です。
本記事では、市営住宅に住んでいる方が自己破産を行う際のポイントを、わかりやすく解説します。

自己破産とはどういう手続き

自己破産とは、個人が借金を返済するのが困難になった際に裁判所を通じてすべての借金の返済義務を免除してもらう法的な手続きです。法人の場合は、破産宣告や倒産などと言ったりします。

自己破産のポイント

  • 借金の返済義務が免除される(免責)借金がチャラになる
  • 知人や家族からの借金も含めて、原則としてすべての債務を対象にする必要がある
  • 生活必需品や、一定の現金など一部の財産は手元に残せる
  • 一定期間、信用情報機関に事故情報として記録される(約5〜10年)ブラックリスト

市営住宅の滞納家賃も自己破産できる?

一般的なアパートやマンションの滞納した家賃は自己破産をすることで、免責されます。市営住宅や県営住宅の家賃も一般の賃貸住宅と同じように「債務」の一種であり、自己破産の際には「破産債権」として扱われ、免責の対象となります。
つまり、自己破産の申立て時点で滞納している家賃は、原則として他の借金と同じく免責の対象となります。あくまで、現に滞納している家賃というのがポイントです。

自己破産の対象になるのは滞納している分だけ

自己破産の申し立てをしても、全ての家賃が免責されるわけではなく、あくまで裁判所に自己破産の申立てをした時点において、現に滞納している家賃分のみが、免責の対象になる点に注意が必要です。

  • 自己破産の手続き開始まで(申し立ての時点)に発生している滞納した家賃
  • 手続き開始後(申し立て後)に発生する家賃は免責されない

自己破産と強制退去の関係自己破産すると市営住宅を退去させられる??

市営住宅等に住んでいる方にとって、最も気になる点が、自己破産をすることで家を強制的に追い出されるのではないかというところです。結論的に言えば、家賃滞納があっても、すぐに退去を求められるわけではありません
現に滞納家賃があって、家賃も一緒に自己破産をするのか、滞納家賃はなく、それ以外の債務で自己破産をするのかで今後の対応が変わってきます。
まず、前者の市営住宅の家賃滞納がないケースでは、自己破産だけを理由に退去を求められる可能性は低いと言えます。

家賃滞納も自己破産する場合には注意が必要

家賃の滞納が長期間続いている場合は、自治体から「明け渡し請求(契約解除)」をされる可能性があります。
たしかに、自己破産によって過去の滞納分は免責されますが、今後も住み続けられるかは自治体の判断次第です。
また、免責されるのは、あくまで申立て時点の過去の家賃のみであり、自己破産後の家賃は支払い続ける必要があります。
つまり、続きて今後も家賃を滞納し続けると強制的に退去要請を受ける可能性が高まります。

自己破産手続きの流れについて

自己破産は、必要書類を集めるところから、最終的に免責されるまで半年~1年程度の期間が必要になります。

  • 弁護士や司法書士などの専門家へ相談
  • 債務整理の方針決定をし、債権者への受任通知
  • 収支や財産の調査
  • 自己破産の申立て(住所地を管轄する地方裁判所)
  • 免責許可の決定(約3~6ヶ月程度)場合によっては、1年以上かかることもある

自己破産を恐れる必要はないが、自己破産は思っているほど単純ではないこれから自己破産をお考えの方へ

1. 滞納家賃している正直に申告すること

裁判所に自己破産を申し立てる際は、必ずすべての債務を正確に申告する必要があります。債務の漏れや、虚偽の申告をすると、最悪の場合、免責が認められないこともあるため、要注意です。市営住宅等の家賃滞納も忘れずに含めて手続きをするようにします。

2. 自己破産をした場合の自治体の対応を確認する

市営住宅等を運営する各自治体によって、自己破産への対応が異なる場合があります。もし、引越予定ではなく、自己破産後もこれまで通り住み続けたい場合は、事前に交渉をすることをお勧めします。

自己破産は、自分でやるのは困難3. 債務整理の専門家に早めに相談する

現在、市営住宅に住みながら自己破産を検討している場合、自治体の対応や退去要請のリスクも含めて、経験豊富な弁護士や司法書士に相談することで、最善の対応が可能になります。

自己破産についてよくある質問

Q1:市営住宅の保証人にも請求がいきますか?

A1:はい。滞納がある場合、保証人にも請求がいくことがあります。自己破産をする本人が免責されても、保証人には支払い義務が残りますので、必ず保証人に連絡をしておいてください。後にトラブルに発展することがあります。

Q2:家賃以外の税金や保険も自己破産の対象になりますか?

A2:所得税や住民税や国民健康保険料などは、「非免責債権」とされており、自己破産しても免責されませんので、注意が必要です。

市営住宅等の家賃も自己破産の免責対象になるまとめ

市営住宅に住んでいる方でも、滞納家賃が原因で自己破産を検討することは珍しくありません。重要なのは、申立て時点の滞納分が自己破産の対象になること、そして今後の家賃は滞納することなく、しっかり支払う必要があるという点です。
強制退去によるリスクを避けるためにも、早めに専門家に相談し、適切な判断をして誠実に対応することが重要です。

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