楽天カードの任意整理について最新情報を債務整理のプロが解説

1.楽天カードとは?

楽天カードは、楽天グループが発行するクレジットカードで、日本国内でも圧倒的な人気を誇るカードのひとつです。年会費無料でありながら、楽天市場や楽天トラベルなど楽天グループのサービス利用でポイント還元率が高いことから、利用者数は数千万人規模といわれています。
また、ショッピング枠に加えてキャッシング枠も利用できるため、日常的な買い物から急な出費まで幅広く対応できるのが特徴です。しかしその利便性ゆえに、つい使いすぎてしまい、返済が厳しくなる方も少なくありません。特にリボ払いを重ねてしまった場合、気づけば元金以上の利息を支払うことになり、返済の見通しが立たなくなるケースが多いのです。
特にリボ払いは「毎月の支払いが一定で安心」と思って利用する人が多いのですが、実際には利息が大きく膨らみ、返済総額が当初の借入れを大幅に上回ってしまうことが珍しくありません。
楽天カードの利用者は20〜40代が中心ですが、高齢層でも楽天市場や楽天トラベルの利用に合わせて保持しているケースが増加しています。そのため、生活に密接に関わるカードであるがゆえに、支払い不能に陥った際の影響は大きくなります。

2.楽天カードの利用代金は任意整理できる?

結論からいえば、楽天カードの利用代金は任意整理の対象になります。楽天カード株式会社は、比較的任意整理に協力的な会社です。債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの方法がありますが、楽天カードについても他のクレジットカード会社と同様に交渉・整理することが可能です。
特に、弁護士や司法書士が楽天カードに対して任意整理の交渉を行うと、多くの場合は 将来利息を免除 してもらえたり、分割回数を延ばしてもらえる ことが期待できます。

3.任意整理に関する楽天カードの傾向

楽天カードは債務整理の中でも任意整理に応じやすい債権者のひとつといわれています。その特徴を詳しく見ていきましょう。

3-1. 60回分割に応じてくれる可能性が高い

楽天カードは任意整理において、最長60回(5年)までの分割返済 に応じてくれるケースが多いです。借金総額が大きい場合でも、毎月の返済額を抑えられるため、現実的な返済計画を立てやすくなります。
たとえば、以下に参考例を挙げさせていただきました。

  • 借金総額:120万円
  • 通常返済:リボ払いで金利15%、毎月3万円の支払い → 5年以上かかっても元金が減らないケースあり
  • 任意整理後:将来利息カット+60回分割 → 毎月2万円の支払いで、利息カットにより元金が早く減り、完済可能

このように、楽天カードを任意整理することで月々の返済額を現実的な水準に抑えることができます。

3-2. 将来利息は基本的に全額カットしてもらえる可能性が高い

任意整理の最大のメリットは 将来利息のカット です。楽天カードも例外ではなく、利息を全額免除してもらえるのが一般的です。
例えば、リボ払いで残高100万円を抱えていた場合、利息を払い続ければ返済総額は150万円以上になる可能性があります。しかし、任意整理をすれば「100万円のみ」を返済すればよくなるのです。つまり、返済が全て元金に充当されるので残額の減るスピードが速く、完済までの道のりが見えやすくなります。

3-3. 返済の開始時期も柔軟に対応してもらいやすい

楽天カードは、任意整理成立後すぐに返済を開始するのが原則ですが、場合によっては 2〜3か月の支払猶予期間 を認めてもらえることがあります。ボーナス時期や転職後の収入安定を待ちたい人にとっては大きな助けとなります。

4.楽天カードを任意整理すると、他の楽天サービスはどうなるの?

楽天カードを債務整理すると、気になるのが「楽天グループの他のサービス(楽天銀行や楽天トラベル、ラクマ、楽天市場など)が使えなくなるのか?」という点です。実際の影響について解説します。

4-1. 楽天カードは今後は使えなくなる

任意整理を行うと、楽天カードは受任通知とともに、即座に利用停止となり、そのまま強制解約されます。再発行や再利用は不可能です。任意整理しても、5年経過で新たにローンを組むことができるようになる可能性が高いですが、楽天カードの社内には社内ブラックとしてリストが残り続けるため、今後も楽天カードを再発行することは難しいと思ってください。

4-2. 楽天カードで貯めたポイントは取り消される可能性がある

楽天カードの利用で貯めた楽天ポイントは、任意整理のタイミングで失効する可能性があります。必ずしも全て失効するとは限りませんが、できるだけ任意整理前にあらかじめ使い切っておくのが安全です。

4-3. 楽天銀行の口座は今後もそのまま使える

楽天カードを債務整理しても、楽天銀行の口座はそのまま利用できます。給与振込や引き落としにも問題はありません。中のお金についても凍結などされるわけではありません。

4-4. 楽天市場で買い物はできる

今まで通り楽天市場での商品購入も問題なく続けられます。ただし、クレジットカード決済が使えないため、銀行振込や代引きなどで対応することになります。

4-5. 楽天モバイルは今までどおり使える

楽天モバイルを利用されている方は、この点も心配されるかもしれませんが、楽天モバイルも基本的には利用停止にはなりません。通信料金を口座振替などで支払えば、サービスは継続可能です。

5.楽天カードを任意整理する際の注意点

5-1. 個人信用情報機関(CIC等)に事故情報が登録される

任意整理をすると、CICやJICCなどに事故情報が登録され、いわゆるブラックリスト入り となります。おおむね5年間は新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。

5-2. ショッピングとキャッシングの両方を債務整理することになる

楽天カードはショッピング枠とキャッシング枠がありますが、どちらか一方だけを整理するのは原則できません。両方まとめて任意整理の対象になります。その中には分割払いのものやリボ払いのものを含みます。

5-3. 専門家に依頼しても必ず成功するとは限らない

楽天カードとの任意整理のための和解交渉は、少しでも可能性をあげるために司法書士や弁護士などの法律専門家に任せた方が安全です。ただ、楽天カードとの和解交渉は、必ずしも希望通りの金額で和解できるわけではありません。任意整理は交渉によるものなので、楽天カード側が拒否すれば成立しません。ただし実務上は応じてもらえるケースが大半です。

5-4. 楽天銀行のローンも債務整理が必要になることがある

楽天銀行のカードローンを利用している場合、楽天カードの任意整理とは別に、同時に交渉が必要になるケースがあります。

5-5. 債権回収会社に債権が移ると、和解交渉が厳しくなる可能性がある

長期間延滞を続けると、楽天カードの債権が回収会社に移されることがあります。その場合、債権回収会社は貸金業者ではないため、分割回数や利息カットの条件が厳しくなる可能性があります。

5-6. 現実的な返済計画を立てることが大切

任意整理後の返済が滞れば、再び債務問題が深刻化します。結局、自己破産などの方法にシフトすることにもなりかねませんので、けっして無理のない返済計画を立てることが何より重要です。

6.任意整理中にクレジットカードを作ることはできる?

任意整理中や債務整理中は、新たなクレジットカードの審査に通ることはほぼ不可能です。5年経過することでブラック情報が削除され、新たにクレジットカードを作ることができるようになります。

7.任意整理後にクレジットカードの審査に通るためのポイント

7-1. 収入の安定した収入の職業に就く

業績が安定している会社に数年勤めたり、正社員や公務員など安定した職業は、審査で有利になります。ただし、クレジットカードの審査については、会社名や雇用形態よりも、安定した収入があるかどうかと、これまでの返済実績の方が重要視されますので、きちっと返済して実績を作るのが近道です。

7-2. ブラックリストが消えるのを待つ

最低でも5年間は待ち、ご自身で適度に信用情報機関から情報開示をし、情報が消えいるのを確認して、その後に申し込むのが基本です。

7-3. 複数のクレジットカードの審査を同時に申し込まないこと

短期間(1週間~3か月の間)に複数のカード申込をすると「多重申込」とみなされ、審査に不利になります。複数のカードを申し込む場合は、なるべく3か月以上は空けて申し込むのが無難です。

7-4. キャッシング機能は付けずに申し込む

キャッシング枠をゼロにしてショッピング利用のみのカードとして申し込むことで、審査通過の可能性がぐんと上がります。

7-5. 客観的に見て綺麗なクレジットヒストリーを積み上げる

携帯料金や家賃など、毎月の支払いを滞りなく続けることでクレジットヒストリー(クレヒス)をしっかりつくり、信用力を回復させましょう。

8.楽天カードの支払いが厳しいと感じたら、早めに弁護士や司法書士へ相談を

月々の楽天カードの支払いが厳しいと感じたら、早めに弁護士や司法書士へ相談することが大切です。専門家に相談することで、毎月の返済負担を軽減でき、迅速な解決ができる可能性が高まります。

9.楽天カードの任意整理に関してよくある質問

Q. 楽天カードが任意整理に応じないことはある?

楽天カードは任意整理に協力的な会社ですが、可能性はゼロではありません。ただし、実務上は応じてもらえるケースがほとんどです。

Q. 債務整理(任意整理)をすると、持っている楽天カードはどうなる? 強制解約になる?

はい。任意整理をすると楽天カードは利用停止となり、そのまま強制解約となるため、お手持ちのクレジットカードやETCカードは楽天へ返却する必要があります。

Q. 債務整理(任意整理)後に楽天カードの再発行はできる?

事故情報が残っている間はほぼ不可能です。事故情報が消えた後であれば、審査に通る可能性はありますが、社内には事故情報が残るため、あまり期待はしない方がいいです。

Q. 債務整理(任意整理)をしたクレジットカードは復活できる?

復活はできません。新たに申込みをするしかありません。

10.まとめ

楽天カードは任意整理に比較的柔軟で、60回分割や利息カットといった有利な条件で和解できるケースが多いです。ただし、ブラックリスト入りやカード停止といったデメリットも伴います。
支払いが難しいと感じたら、できるだけ早く専門家に相談し、最適な解決策を選ぶことが重要です。

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