家族に内緒で債務整理はできる??

夫や妻にバレたくない債務整理は家族にバレずにできるのか?

借金問題を抱えたとき、「家族に迷惑をかけたくない」「配偶者や親に知られたくない」という思いから、家族に内緒で債務整理を検討する方は少なくありません。特に、結婚している場合や実家暮らしの場合は、日常生活での金銭管理を共有しているため「手続きがバレてしまうのでは」と心配になるのも当然です。
結論からいうと、任意整理であれば家族に知られずに手続きできる可能性が比較的高い といえます。一方で、自己破産や個人再生は家族に内緒にするのは難しい場合が多いです。なぜなら、これらは裁判所を通じた手続きであり、財産や家計に関する詳細な情報を提出する必要があるため、どうしても同居の家族の協力や理解が不可欠になるからです。
それでは具体的に、家族にバレる可能性のあるケースや回避方法について、詳しく見ていきましょう。

家族に内緒で債務整理したい場合

債務整理の方法には大きく分けて「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3種類があります。それぞれの手続きで、家族に知られてしまうリスクの有無が異なります。
特に任意整理は、司法書士や弁護士が債権者と直接交渉する手続きであり、書類の提出もないため、裁判所を介さないため、家族に知られるリスクを最小限に抑えられるのが特徴です。
ここではまず、任意整理における「家族にバレる典型的なケース」についてご紹介します。

任意整理をすると家族にバレるのか?

クレジットカードの停止によりバレる

任意整理をすると、対象となったクレジットカードは利用停止となります。たとえば、生活費や公共料金をそのカードで支払っていた場合、いきなり引き落としができなくなり、家族から「なぜ?」と聞かれる可能性があります。だれが家計を管理しているのかでも、違いはありますが、債務者本人がお金の管理をしているケースでは、家族にバレる可能性は低いと思います。
そのため、クレジットの停止により家族にバレるリスクをがある方は、債務整理を検討する時点で、水道光熱費や携帯料金の支払い方法を口座振替に切り替える といった工夫が必要です。

家族カードなどが止まってバレる

配偶者や子どもにカードを貸している場合や、家族カードを家族が利用している場合には、任意整理によりそのカードが使えなくなり、買い物のレジで利用停止が判明してバレることがあります。カードは原則本人のみ利用できるものですが、実際には家族が日常的に使っているケースも多いため注意が必要です。

ブラックリストになりローンの審査に落ちてバレる

任意整理をすると、信用情報機関に「異動情報」として登録され、いわゆるブラックリスト状態になります。すると、住宅ローンや自動車ローンの審査に通らなくなり、「なぜローンが通らないの?」と家族から追及されることがあります。
それほど大きな金額のローンではなくても、たとえばスマホの端末代金の分割払いの申し込みや、住宅の引越の審査を受けようとした場合に、審判会社によっては審査に落ちることもあります。
この場合、特に夫婦で住宅購入を考えていたり、子どもの学資ローンを検討している場合などは、事前にどう説明するかが重要です。

自宅に裁判所からの訴状が届いて家族にバレる

任意整理を依頼しても、すでに債権者から訴訟提起されている場合、裁判所から訴状が自宅に届くことがあります。その場合は、送り主が裁判所となっているため、それを見た家族は見慣れない封筒にびっくりしてしまうかもしれません。受け取った同居の家族が裁判所からの郵便物を開けてしまうと借金の事実が知られてしまいます。
司法書士や弁護士が受任通知を送った後であれば、基本的に裁判手続きに移行する可能性は低いため、このリスクは減ります。やばいと思ったら早めに専門家に依頼することが重要です。

司法書士や弁護士に辞任されて督促が再開してバレる

任意整理は毎月の返済を継続できることが前提です。もちろんその中には、司法書士や弁護士への報酬も含まれます。ほとんどの事務所では、月々の支払いが滞ってしまうと、辞任することになるため、辞任後は直接ご本人への督促が再開されます。任意整理で和解が成立してホッとしたところ、返済が滞って司法書士や弁護士が代理人を辞任することで、再び督促の電話や郵便物が自宅に届き、結果として家族に知られてしまうケースがあります。

自己破産や個人再生をすると家族にバレるのか?

債務整理の方法の中で、任意整理では対応が難しいようなケースでは自己破産や個人再生を検討せざるをえなくなります。自己破産や個人再生では任意整理とは違って、必ず裁判所を通す手続きになるため、提出する公的書類などが膨大になります。また、同居の家族などの公的書類も提出の対象となることが多いため、任意整理よりも家族にバレる可能性は高くなります。

同居の家族と生計が同じ場合

自己破産や個人再生は、裁判所を通じて家計の状況を詳細に調査されます。そのため、同居家族の収入や支出も書類に記載しなければならず、場合によっては、同居の方の給与明細や、源泉徴収票、銀行口座の提出を求められることもあるため、生活を共にしている家族に完全に内緒で手続きすることは困難です。

家族からお金を借りている場合

自己破産や個人再生の対象には、友人や家族からの借金も含まれます。自己破産や個人再生では、任意整理のように特定の債権者のみを除外したりすることが不可能なため、知人や家族を含む全ての債権者を対象とする必要があります。そのため、自己破産や個人再生を行う場合、親や兄弟に借りたお金も裁判所への申告が必要です。つまり、家族に内緒で進めることは不可能となります。

家族が保証人になっている場合

家族が借金の保証人になっている場合、自己破産や個人再生をすると保証人である家族に返済義務が生じます。最も多いのが、奨学金の保証人が親になっているケースです。保証人がいる場合、司法書士や弁護士が受任通知を送ると、保証人に一括請求の督促がいくことがほとんどです。そのため、必然的に手続きが伝わり、内緒にすることはできません。

まとめ

家族に内緒で債務整理を行いたい場合、任意整理であればできる可能性は比較的高い ですが、自己破産や個人再生は家族に隠し通すことはほぼ不可能です。
とはいえ、債務整理は将来の生活を立て直すために必要な法的手続きです。どうしても家族に知られたくない事情がある場合は、任意整理を選びつつ、生活費の支払い方法や郵便物の管理を工夫することでリスクを下げられます。
一方で、自己破産や個人再生を検討せざるを得ないほど借金が膨らんでいる場合は、最終的には家族に相談し協力を得ることが解決の近道になるケースも多いです。
借金問題を一人で抱え込まず、まずは司法書士や弁護士といった専門家に相談してください。あなたの状況に合わせて「どこまで内緒にできるのか」「どの方法が適切か」を一緒に考えてくれるので、解決の糸口が見つかるはずです。

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